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それが何を意味していようが、そこに時間が存在し、何かが起き、僅かながらに『ヒトトキ』を感じるものである・・・


朝なのだろうか・・・
薄暗い船内で目が覚めると時の感覚をなくしていた。
口の中がジャリジャリとして痛む・・・
船上を目指し階段を上って行くと既に夜は明けていて光に満ち溢れた。
なんとなく安堵を感じたが違和感が漂う・・・
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眩しい日差しが目を突き刺し、そこが何処なのか理解するのに時間がかかった。
船は静けさの中を漂い大地がそこにある・・・
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もうロシアか?
いいや、そんなにロシアは近くはないだろう・・・
その時、ぼくは二人の屈強なロシア人に両腕を押さえ込まれた。
どんなに足掻らっても鋼鉄のカンヌキの如き腕を振りほどく事が出来なかった。
ぼくの人生もここまでか・・・
そんな嫌な気配がぼくの心を憔悴させたのだ・・・

二人のロシア人はぼくを抱えたまま地上に上陸した。
一陣の風が吹き抜けロシア人のモジャモジャのもみ上げを揺らした・・・
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その瞬間、
まるで生ゴミでも扱うかの様に硬いコンクリートの上にぼくを放りなげた。
もみ上げの動きに視線を奪われた為、
受身を取ることもできずに地面を転げ回り鼻血を出した・・・
ロシア人の船員はぼくに冷たい視線と意味不明な言葉を投げかけると
船に戻って行った。
ぼくは呆然とした視線を彼らの背中に向け、ふと思い立ったかの走り出した。
しかし船に乗り込もうにも大地と陸の架け橋を外されてしまい、
船に乗り込むことが出来なくなってしまった。
大地の船の隙間に広大な海が広がって行った。
あっという間の出来事だ・・・

何故ぼくは船を降ろされてしまったのだろう・・・
船はそんなぼくの疑問に答える事も無く遠くに消えてしまった・・・
ようするにぼくは一宿一晩の宿を提供されただけで、
金を騙し取られてしまったと言う事なのか・・・
昨夜のフルコースが思いをよぎる・・・
近くで秋刀魚を焼いていた港のおばちゃんが心配そうに声をかけてくれた。
「焼き秋刀魚1本50円だげんど・・・」
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ぼくはそんな言葉に二本下さいとだけ呟き、
タオルでマスクをしたおばちゃんにお金を渡した・・・
秋刀魚の湯気が遠くに浮かぶ船の姿を霞ませた。
ぼくは割り箸で秋刀魚をほおばりながら寒い港を後にした。
秋刀魚の美味しい季節なのだ・・・

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