裏路地小劇場 そらへ 第一幕


それが何を意味していようが、そこに時間が存在し、何かが起き、僅かながらに『ヒトトキ』を感じるものである・・・

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カツカツカツ……

誰も見ていない遠くの路地で誰かが歩く音がこだまする。
そびえ立つか細い鉄塔からは路地を照し出す光が吐き出されるが、
そのほとんどは深い夜の息吹きにかき消され隅々までに行き届く事は無い。
静寂という闇の奏でる気配だけが強調されていた。

 gaitou1.jpg

「はやく家に帰りたい」
はるかなる高みから覗いている月明かりだけが帰路に急ぐ足元を照らしている。
いつもと同じ寂しい帰り道だ。ぼくは歩きながら月夜を見上げた。

冷たい夜風が頬を打ち、
何かがこの荒廃した命を救ってはくれないものかと物思いにふけた。

 live_.jpg

黒い路地の何も見えない先を眺めても、
歩いてきた過去を振り替えって見ても、
暗が揺れている気配がするだけで何にも見えなかった。

見えるものは闇の中にポツリと存在する今この瞬間のこの場所だけだ。
ぼくはこの一分一秒をしのぐ為だけに存在する。

そんな時、今まで感じた事の無い突き刺す様な風が頬を打ち急ぐ歩みを停止させた。
そして、ぼくの目は其処に存在する一本の紐に釘付けとなった。

 himo1.jpg

その紐は空の彼方から垂れ下がっていた。
こんなに奇想天外な現実が目の前に訪れるとは考えても見なかった。

過去も未来においても何のへんてつの可能性すらも無いぼくにとって、
生きている上での最初で最後のチャンスかもしれない気がした。

手は無意識に紐を手繰り寄せ、非力なはずの身体を強いて登り始めた。
そう、渇いた砂漠に水が瞬時に溶け込むかの様に、
到底あり得ようも無いこの状況を全てぼくは受け入れたのだ。

大富豪というトランプゲームで言うところの革命と言うやつだろうか、
最も非力なカードが最強になり得る瞬間。
そんな淡い思いを抱いて登り続けた。

既に足元は民家の屋根どころか、
工場の汚染された煙を吐き出す突起物よりもはるかな高みまで来ていた。

ハア、ハアっと息も絶え絶えに我ながらよく体力が続くものだと思ったら、
本来であれば自分の力はここまで出るのだと言うことを思い出させた。

そのままぼくは果てしない時間を宇宙を目指すために消費続けたのだ。


裏路地小劇場 そらへ 第一幕 完
第二幕へ続く……













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