裏路地小劇場 場末のひと 第四幕


それが何を意味していようが、そこに時間が存在し、何かが起き、僅かながらに『ヒトトキ』を感じるものである・・・

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受付の看護婦は
目玉と顔が極端に大きくまんまるで身体が酷く痩せていた。

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まるで裁縫道具のマチバリを想像させた。

受付する時の声もか細く
三つあみに編んだ長い髪の毛先も細かった。

私は看護婦に紹介状を手渡すと
コンクリートのむき出しの部屋で待つように言われた。

それにしても薄気味の悪い病院である。
模型だと思うが壁一面にリアルな眼球が飾られている。

しかも待合室に置いてある本は
SMやニューハーフ系のマニアックな本ばかりで、
これから医療を受けるものが控えるには相応しくない場所と言えた。

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私は眠気と吐き気に耐えながら
幽霊の様に佇んでいる看護婦を見ないように
何も飾られていないコンクリートの壁を見つめていた。

この異様な空間のせいか目医者をようやく探し終えたと言う
達成感など瞬時にかき消されてしまった。

そんなことを冷たい壁に無言で投げ掛けていると
チクチクと刺すような感覚を肌に感じ振り返った。

「先生がおよびです……」
あのマチバリの様な看護婦が怨めしそうな目付で佇んでいた。

一瞬ゾッとしながらもかろうじで頷くと立ち上がって彼女に向き合った。

なんて背が高いのだろう
先程は距離があったため気づかなかったが
看護婦の身長はぼくのそれを頭一つ分高かった。

看護婦に診察室まで案内されると大きなサングラスをかけた
無精髭顔の白衣を着た男が座っていた。

もちろんとうてい医者には見えなかった。
彼は紹介状と一緒に封筒に入っていたカルテを取り出すと
興味無さそうに一瞥して机の上に放り投げた。

「あの……」
私が喋りかけようとすると
医者は手のひらを前につきだして私の言葉を遮った。

「大丈夫です。私が良い医者を紹介しますから。
あなたは安心して下さい」

医者は言いながらカルテに鉛筆を走らせると落書きをし始め、
アニメの主題歌を口ずさみながら下手くそなネコのキャラクターを書き上げた。

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そして一枚の紹介状と一緒に封筒に入れると私に手渡した。

私の我慢も限界だった。

「ちょっとどういう事ですか?診察してくださいよ!
来てすぐに別の医者を紹介するなんておかしいじゃないですか?」

私は医療を携わるものがここまで酷い行いをするとは
思ってもいなかったのでこの予期しない態度に激しく憤りを感じた。

「お客さん。そうは言ってもここは目医者ですぜ。目医者に心の病は治せません。
もっともあたしの目玉はこんなんだから目の病気も直せないですがね」

医者は不適な笑みを浮かべると、
サングラスを取り外し眼光の無い真っ黒な穴の空いた目を私に晒した。

私は短い悲鳴と共に椅子を離れて後ずさると、
このイカれた笑い声を発する医者に恐怖に似た違和感を感じた。


裏路地小劇場 場末のひと 第四幕 完
第五幕につづく……




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