裏路地小劇場 場末のひと 第六幕


それが何を意味していようが、そこに時間が存在し、何かが起き、僅かながらに『ヒトトキ』を感じるものである・・・

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 帰宅ラッシュも過ぎた時間帯の為か道路はそれほど混んではいなかった。
あまり車の運転はしないのだが交通の便を考えて車で行くことにした。

先の目医者と同じく骨董屋は深夜営業なので
料金の高い高速に乗らず一般道で行けば丁度良いと思った。

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夜間の運転はトラックも多くスピードも出ているため危険でもあったが
カーナビ通りに進んで行けば良いので道に迷うこともなかった。

途中コンビニによりトイレを済ませて
車に乗り込もうとした時に微かに銀色に氷った雫がちらついた様に見えた。

伊香保温泉は平地とは違い標高が高いため気がかりである。

何となしにこのまま引き返した方が良いのではと思いもしたが
車の中で一呼吸入れるとエンジン音を響かせながら再び走り始めた。

伊香保温泉の石段街に程近い無料駐車場に車を止めた。
辺り一面はうっすらと雪に覆われている。

随分と昔に来てから大分様相が異なるように思えた。
当然観光地なのだから休日なんかにくると観光客で賑わうのだろうが
今日は平日の深夜だから誰も人はいないし駐車場近くの交番も無人だ。

最近造られたのか石段街へと続く新しい階段を上って行くと
狭い道路が横切っている。

以前関所があった場所は工事中なのか
囲いがされて中が見れなくなっていた。

その狭い道路を隔てて石段街が外灯と月明かりに照らされて上へと続いている。
階段を上る足音が響くが静寂が全てを支配していた。

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それでも僅かに観光気分なんか出してみると
雛壇状に配置された射的や土産物屋の店店に囲まれた石段は
温泉街らしい良い趣を出しているように感じた。

背後を振り返り遠くの景色を観ると
山々は雪に覆われているせいか月明かりだけでも充分明るく見えた。

途中に石段温泉なるものがあったがこんな夜中では
空いていないだろう……

そう思って扉に手をかけてみると鍵が掛かっていないことに気づいた。

私は躊躇することもなく敷居をまたぐと脱衣場を経由して
温泉に浸かった。源泉はかけ流しなのだろう。
深夜でも湯が湧き出ている。

鉄分を含んだ熱い湯が旅の疲れを芯から癒してくれるかのようだ。
そう言えばこの階段の最上段にある神社の裏をもっと奥に行ったところには
露天風呂があるはずだった。

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今回の一件が終わったら帰る前によっていこうと思った。

そんな時、熱い湯船に浸かりながらふと考えがよぎった。

何故私はこんなところまで来てしまったのだろうか……
好奇心が働いたとは言え無謀過ぎるのは間違いないだろう……

だが病気によって家族も失った自分が唯一の拠り所である医者を、
あるいは医者に変わる何かを求めてやまないのは
仕方がない事かも知れない。

私は自分自身を説得すると顔を温泉に浸したのだ……


裏路地小劇場 場末のひと 第六幕 完
第七幕につづく……






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