裏路地小劇場 夜の目覚め 第四幕


それが何を意味していようが、そこに時間が存在し、何かが起き、僅かながらに『ヒトトキ』を感じるものである・・・

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意を決して飛び付いて見たものの、

止まることを知らない機械人形の足首にしがみつくのは
想像を遥かに越える難作業だった。

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身体中の血管が破裂するのではと思えるほどの力をこめても、
振り落とされ無いようにするだけで精一杯だった。

このままでは地面に落ち、
最悪の場合踏み潰されてしまうだろう……

グ、シャング
グ、シャング
グ、シャング

規則的なリズムの響くなか急速に力が失われて行く。

「ああ、もうだめだ……」
歯の隙間から滲み出た無意識な言葉と同時だった。

踏み潰されて無様に内蔵をぶちまける様が刹那に浮かび、
ぼくは深い闇の中へと落下した。

死と言う文字が目の前に浮かんだ。

 uraroji_000_20140509211707f31.jpg

しかし、落下した衝撃は一行に訪れなかった。

そのかわりに一定のリズムで振動が身体中に響いてきた。

グ、シャング
グ、シャング
グ、シャング

その振動は紛れもなく、
今までぼくを悩ませていた耳鳴りや震えと同じものだった……

偶然なのか、
足首から垂れ下がっていた何本かの鉄の管が、

奇跡的にぼくの身体に巻き付き落下を防いだのだ。

しかし、
こんなにうまく鉄の管が身体に巻き付くものなのだろうか?

不思議に思いながら繊維がむき出しの巨体を一瞥し、
巻き付いていた鉄の管をずらしながら進行方向を見据える様に座り直した。

よく分からないが、
とにかく死は免れたと言うわけだ……

 uraroji_001_201405092117080fe.jpg

機械人形は大きな高低差をもって激しく振動していた。

しかし、
それなりの時間が経過して慣れて来たのか、
緊張感もほぐれ身体中の力が抜け、それほど不快でも無かった。

しいて言えば、重労働をした後の気だるさを感じた。

グ、シャング
グ、シャング
グ、シャング

街灯に照らされた夜の景色が自然と流れ、
何時も美味しそうな匂いを漂わせていた定食屋の看板が
目尻のすみにそっと触れた。

 uraroji_002_20140509211711271.jpg

揺りかごの様な振動が強い麻薬のように作用したのか、
あるいは無垢の子供の頃の記憶を思い出させた為なのか
アクビが止めどなく漏れてきた。

ふと何かが蠢く気配を感じた。

まるで毒蛇のようにかまくびをもたげて鉄の管が脈動しながら動いている。

そいつは自分の意思を持っているかの様に、
ゆっくりと近づいて来ると、ぼくの身体に絡まって来た。

 uraroji_003_20140509211711f4f.jpg

しかも、
ぼくが抵抗しないのを良いことに、
遠慮も無く身体の中にまで進入してきたのだ。

だが、
無数の鉄の管が侵入して来ようとも、
痛みを感じる事もなく、それほど気になることはなかった。

ああ、顔に、指先に鉄の管が刺さる……

その冷たい異物が体内に進入してくるのを感じながら、
ぼくはこのまま機械人形の身体の一部として取り込まれて行くのを感じた……


裏路地小劇場 夜の目覚め 第四幕 完
次回 第五幕へ続く……






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