裏路地小劇場 夜の目覚め 第五幕


それが何を意味していようが、そこに時間が存在し、何かが起き、僅かながらに『ヒトトキ』を感じるものである・・・

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この甘美なる狂気に従順なるぼくの意識が支配される一方で

何となくこのままでは行けないと警報が囁きかける。

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だが、このまま機械人形に取り込まれるのと、
現実の世界で闇に溶け込むのと一体何が違うのだろうか……

機械人形は一時の間も休むことをせずに光の柱に向かって歩き続けた。

正直、
この先どの様な事態に陥ろうとも、
それほど気にすることは無いのではと思えて来る……

しかし、
光の柱に近づくほど眩しさに耐え難くなってきた。

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もう限界だ。

目を閉じても、その眩しさはぼくを覆い、

ぼくの中に存在する闇をより色濃く強調した。

光は、ぼく自身を説得するかのように輝かしい理想を投げ掛ける。

「分かっているんだ……、そんなこと……、
世の中が正しくて、ぼく自身が間違っているのは重々承知しているんだ……」

何とかして、この光に満ちた苦境から解放されたかった。

その思いは鉄の管に緊縛された身がねじれ切れ、
血を滴らせようとも変わらなかった。

ぼくが、
例え光を望んだとして一体何が得られると言うのだろうか……

少しずつ、ほんの少しずつ身体を犠牲にして行くと、
ようやく僅かな隙間を作り上げる事が出来た。

これで顔と身体を少し背けることが出来る。

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目が少し楽にはなったが、
ぼんやりと眩んだ視力が回復するのには、もうしばらく時間が必要だった。

しかし、
どういう訳かぼくの視力はなかなか元に戻らなかった。

何故なら機械人形の足を形成する鉄の管の一部が、
ある物体を形造るかのように錯覚したからだ。

おぼろげであるが確かにその物体は表情を備えていた。

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そう、まるでこれからこの鉄の管に取り込まれる
ぼくの成りの果てであるかのように、

その物体は人間の顔の面影を残していた。

まだ目がおかしいのだろうか?

まあ、どちらでも構わないが、頑張って生きて来た結果がこれなのか……

多くを望まず、生きてさえいれば良いと思っていたが、
改めて客観的に自分自身を見つめてみると惨めに思えてならなかった。

せめて……

なんだろうか、
別に夢とか希望とか明確に意識を持って感じた訳ではないが、
お腹が空いて仕方がなかった。

「ごはん食べたいな……」

そう呟いた途端だった。

この鉄錆びの匂いが、
ぼくの中に沸き起こった空腹と言う名の生理的欲求と衝突した。

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途端に、
ここから逃げ出したい気持ちで一杯になった。

いいや、どちらかと言うともう一度だけで良いから
美味しい食事がしたくてたまらなかった。

身体中に張り巡らされた鉄の管がジリジリと肉体から抜ける嫌な感覚がしたが、
少しでも気を抜くとロボットの中に取り込まれそうだった。

こんなに痩せ細ばった身体のどこに力があったのだろうか?

ぼくは光の柱に取り込まれる寸前の所で地面に転げ落ちた。

身体中から引きちぎれた鉄の管がこぼれ落ちる様に覗いていたが、
そいつは意思を持っているかのようにぼくの体内に潜り込んで見えなくなった。

機械人形は光の柱の前で一端たちどまると、
ぼくの方を振り向いて見た。

何か会話でも始まるのかとも思ったが、
彼は何も言わずに眩い光にくるまれ空へ吸い込まれてしまった。

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ぼくは歩く気力もなくその場に座り込み

その光景を何時までも眺めていた……


裏路地小劇場 夜の目覚め 第五幕 完
次回 最終幕につづく……





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